シベリアというお菓子
売っているのは見たことがあっても 見るからに大味で 見ただけで味がわかってしまうようで ずっと食べることはなかった ちょっと気持ちが動いて買ってみた シベリアといえば三角形だが 買ったシベリアは四角く 切り口は食べ物とは思えないほどキレイ 水飴の味がする水ようかんのような中身 甘さがいつまでも続いて 濃いめのお茶一杯では足りない 和菓子なのか洋菓子なのか ちょっとよくわからない風情である シベリアの本名はシベリアケーキ パンやさんが作り始めたという シベリアケーキは 昭和初期の子供たちにとって 「食べたいお菓子ナンバーワン」 だったこともある往年の名女優であった 今ではスーパーのパン売り場の 目立たないところにあるかないか 甘食やサンリツパンなどとともに 不思議な食べ物の範疇に入っている 濃いお茶二杯で シベリアを食べて数日後 深くて濃い甘みがなつかしくなった つまらない保身をする人の ひからびて味気ない言葉を聞いたあとに いまではすっかり 世話焼きのおばちゃんになってしまった 往年の名女優から 路地でスーパーの袋を持ったまま ベタで紋切り型のセリフを喰らいたい 「あんたね、そのくらいで泣いて どうすんのよ、あたしなんか・・・」 おばちゃんは自分の買い物袋から出した シベリアをひとつティッシュにくるんで 私にくれる。それはシベリア デラックス! 遠い昔、この大味のお菓子は 子供がいちばん食べたいお菓子だった その理由に気付く シベリアケーキ シベリアの由来
by mironobonus
| 2005-05-28 21:59
| お茶とお菓子
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