カテゴリ:読書の時間( 8 )

DRAGON SLIDE


古い家の
古い段ボールの中から
8ミリフィルムや
リールに混じって
オレンジ色の箱が出て来た

干したオレンジのc0065761_1712336.jpg
皮のようなぐっと暗い色
DRAGON SLIDEと書いている
一目瞭然!
サイズから見ても
スライドのマウントの箱だ

開けてみると中は空
きっと紙のスライドが入っていて
マウントの裏側の右上に
龍の模様が印刷してあって
スライドの表裏や上下がわかりやすくなっていて
大昔のスライド係の学生にとっては
とても使いやすいスライドマウントであっただろう。
と、いうのは、単なる想像。
この箱が妙に気に入って
ついでに、DRAGON SLIDEという名前が
とってもすきになっただけ。

ダッダッダッ、
指示棒の先でスクリーンを叩かれ
「をい、上下逆!」とか
「裏返しじゃないか」とか
演壇から先生にどなられた学生が
「ああ、ドラゴンスライドだったら、
きっと上下も裏表も間違えないのになあ」
とくやしがるのだ。

学生はその腹いせに
先生が大事にしているドラゴンスライドの箱から
卒業記念に一枚ずつ
スライドマウントを失敬していったのだな。
で、すっからかんになった箱は
知らん顔して、8ミリフィルムの段ボールに
ぽおーん。

でも悪いことはするもんじゃない。
スライドマウントに印刷してあったドラゴンは
いつのまにやらいなくなっちゃうのさ。
こんな痕跡だけ、残して。

で、また、スライドは
上だか下だか、表だか裏だか
さっぱりわからなくなっちゃうんだってばさ。
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by mironobonus | 2005-11-21 17:45 | 読書の時間

anan な気持ちなのです。PART2

☆当方23才男子。c0065761_22582130.jpg
 デザイン研究所生。
 部屋を無料で借りたい。
 どんなにきたなくても
 せまくても結構。
 そのかわり
 諸雑用一切引き受けます。
 8時〜9時PM、電話ください。

anan のminicomiページに
投稿したこの人はササキさん。
ササキさん、もう、部屋は見つかりましたか?

☆ダックスホンダ50ccc0065761_22591587.jpg
 3万円ぐらい、色はもちろん赤!
☆ビートニクの詩人
 グレゴリーコオソについて
 教えてください。
☆中古のサスペンダー求む。
☆ペルシャ猫が欲しいぞよ。

なにかしたい人
なにかしなくちゃと思う人
カッコよくなりたい人が
72年 ananの投稿記事の中にいる。

次号の特集はエルのトッパーコート
パンタロンとの組み合わせを特集します。
11月5日発売で〜す。210円

11月5日 ササキさんの部屋は
もう見つかっているだろうか。
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by mironobonus | 2005-05-23 23:00 | 読書の時間

anan な気持ちなのです。PART1

1972年秋のananを見つけたのです!
c0065761_0301457.jpgとっても懐かしくて
新しい気分になったってわけ。
72年の秋のスーツは1万円台が圧倒的。
フランネルの
パンタロンスーツもあるし、
コール天のサハリを
バッチリ決めてもいいわけなんだし、
ヘリングボーンのプリーツスカートに
ブレザーだったり、
もう、流行なんかにとらわれずに、
好きなものは好き!
って感じで勝負できるみたい。c0065761_0334791.jpg

原宿のブティックは
「5つの銅貨」さんも
「一つ目小僧」さんも
今ではすっかり
なりをひそめてしまったんだけど
カラフルな小物に
パンダ付きのスモックを着て
70年安保のざわざわっとした気持ちを
吹っ切ってしまおうって寸法。
長崎や京都の街に、私達、
おでかけしてしまいたいって感じなの。

テイジンテトロンの
オレンジ色のサハリーコート8900円
誌上発表と同時発売。急げ、ananのお店へ!
72年anan文体って、今読むとすこしぶきっちょ。
でも、今野雄二さんが取材したロンドンの男の子の記事や
鳥居ユキさんのマンション訪問、音楽も小物たちもみんな、
好きなものを好きと言いたい、
新しくって元気イッパイな「私達」の味方なんじゃない?

ちょっと背伸びしたそのころのJapon(ジャポン)が
とってもカワイイのだ。
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by mironobonus | 2005-05-20 00:31 | 読書の時間

第七官界彷徨

彷徨というのはさまようことなんだ。

六本木の交差点。1983年2月
アマンドと防衛庁の位置をよく確かめて
高速道路に沿ったゆるい坂道を下る。
よかった、目じるしの四川飯店がある。
今日は間違えなかったぞ。
ちょっと先の右側が自由劇場。

第七官界彷徨(だいななかんかいほうこう)という
言葉の小気味良さにちょっと行ってみようと思った。
尾崎翠も第七官界もなにもしらない。
演出:串田和美 「第七官界彷徨」自由劇場
帰りに原作の本を買って、それからは本の中をさまよう。

c0065761_23465374.jpg「第七官界彷徨」(作 尾崎翠 創樹社)

「よほど遠い過去のこと
秋から冬にかけての短い期間を
私は、変な家庭の一員としてすごした。
そしてそのあいだに
私はひとつの恋をしたようである」

一助、二助、三五郎の住む家。
女中部屋の住人ちぢれ毛の町子には
こんなこころざしがある。

「私はひとつ、人間の第七官にひびくような詩を書いてやりましょう」

蘚の恋情、あんこを煮る鍋、コミックオペラ、
くせ毛直しのびなんかずら、そして分裂心理学・・・
ページを繰るたび、言葉の胞子がはじけ、
尾崎翠の世界は読者を培地にして発育する。

彷徨しながらの七ならべも楽しめる。
一助、二助、三五郎。六の秘密は読んでから。
四を誰かが留めているから。

尾崎翠
画像は「尾崎翠全集」(創樹社)です
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by mironobonus | 2005-04-29 23:47 | 読書の時間

腰巻おぼろ 妖鯨篇

上野不忍池、水上音楽堂、状況劇場の赤テント。
テントの中の観客もテントの赤に染まっている。
黄色い電球からランダムに飛び出す長い光の針。

はじめて歌舞伎を見に来たように
隣の客の肩に押されて居場所を失っていたのに
あぶらあげの上着を着た唐十郎が
箪笥(たんす)の引き出しの上で
根津甚八と立ち回りをはじめると
自分ももうすっかり馴染みの客になっている。

破里夫さんは抹香鯨を追ってc0065761_1251865.gif
海に飲み込まれた男、小林薫。
片足にロープをからませたまま
今も銛(もり)を突き立てた鯨と共に海にいる。
李麗仙は腰巻おぼろ。
船の舳先で抹香めがけ銛を構え
愛の幻影を追っかける。
「あんたは刃刺しだ! 刃刺しの伯爵夫人だ!」
舞台奥、不忍池の水中から水しぶきをあげて
現れる巨大な抹香鯨の尾。

ずっと後になってから
劇場の暗い空間は胎内であり
観客はいちいち生まれ変わるのではないかという
考えに至った。
思い返してみれば
たしかにその赤いテントを出たとき
私は恵那を破り、新しい自分のストーリーを持って
生まれなおした気がする。

そのときのへその緒がこの本
唐十郎「腰巻おぼろ 妖鯨篇」角川書店
装丁 篠原勝之
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by mironobonus | 2005-04-24 01:27 | 読書の時間

百まいのきもの

「変だ」という言葉と「普通だ」という言葉は
同じ人が使う言葉である。
そういうことを言いたくなるような風が
人と人との間に吹くときがあるのだろう。
風は止まないこともある。

「百まいのきもの」 岩波書店c0065761_1793126.jpg
 作:エリノア・エスティーズ
 画:ルイス・スロボドキン

「変」な名前のワンダ・ペトロンスキーは
毎日学校に、青い服しか着てこない。
教室のみんな、は、毎日ワンダに訊く。
「あなたは家に、きものを何枚もってるの?」

「私は家に、きものを百まい、持っているの」
転校するワンダは学校を去り際に
百まいのきものの絵と一緒に
みんなに愛をおいていく。

小学校2年生のある日、
この本の裏表紙に私は自分の名前を書いた。
カーボン紙を使って書いている。
小学校2年生は、
教室のみんな、の要素も
ワンダ・ペトロンスキー、の要素も
自分の中にあるように感じ、
40年以上経った今も、その本を部屋に置いていて、
「私は、家に、『百まいのきもの』を持っているの」
と自慢している。

百まいのきもの
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by mironobonus | 2005-03-26 17:13 | 読書の時間

山ン本五郎左衛門只今退散仕る*

80年代のある日、三島由紀夫読本を読んでいたら、
三島由紀夫が絶賛する小説があるというので、
渋谷のパルコ パロウルに行って、
その小説が収めてある
沖積舎「稲垣足穂作品集」を買ってきた。

c0065761_21231711.gif
稲垣足穂
「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」

僕ガ比熊山ノ古墳ヲ探検シタノハ、
約一ヶ月前、詳シク云ウト
寛延ニ年夏至前後ノコトデアル。・・・


十七才の当主平太郎が住む麦倉屋敷。
ひと月の間に毎夜様々な妖怪が現れる。
ヘチマだの、漬物桶だの、大量の虚無僧だの、
妖怪のキッチュさもさることながら、
妖怪と云うには神々しすぎる物怪の親玉、
山ン本五郎左衛門と平太郎の交流がうつくしく楽しい。

山ン本五郎左衛門は平太郎に
「用があったら、小槌を振ればいつでもくるからね」といい残し、
小槌を与えて去っていく。

もともとこの話は、
広島県三次(みよし)市の稲生家に伝承される話で、実話であるという。
80年代最初に読んで以来、この小説は秘中の秘、のつもりでいたのだが
最近、読み直したのを機に、なにげなく検索をかけてみると
こんなものがある。
さてさてこれは、世代を飛び越え三次の町おこしに登場、
平太郎の子孫をはじめとする三次の民に糧を与えようとする、
山ン本五郎左衛門の愛ある霊力かとも思ったが、
さすがにこうなる
これは再び物怪が姿を現したのではないかと感じられる。
しかし、

・・・タトエ顔ニ触ッテモ、又跳ネ歩イテモ、
ソレ丈ノ話ダト思イ定メテ打ッチャッテ置イタガ、
首々モ手モ次第ニ消エテシマッタ。

以後相手ニナラヌガ一等良イト云ウコトヲ、
僕ハ愈々(イヨイヨ)確カメタ。

という平太郎の言葉通りにしておこうと思う。

注*)書名は、「余ハヤマモトニ非ズ、サンモトト発音致ス」
ということなので、サンモト、と発音されたい。

稲生物怪録
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by mironobonus | 2005-03-14 21:23 | 読書の時間

THE BOOK OF TEA

岡倉天心の「茶の本」には、かっこいいことが書いてある。
「茶道の本質は、人生という御しがたい存在の中にあって、
とにかくできるだけのことを成し遂げようというやさしい試みなのである」
(ソーントン・F・直子訳 岡倉天心「茶の本」海南書房)

こんな話も書いてあった。
千の利休という人が、息子に庭を掃除させたら、
すっかりつるつるに掃いてしまったのだって。
そしたら、利休は怒って、
木の枝をゆすって、葉を落とし、自然な感じにしたのだそうだ。
日本の市街地の公園が味気ないのは、
利休の息子と同じことをしてしまうからなんだろうなあ。。。。。

プログを作りました。
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by mironobonus | 2005-02-24 15:00 | 読書の時間