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西荻魔法陣 こけし屋の二階2

もう、こけし屋はだめだ
そう思ったことがある。
しょうがないや
そう思ったことがある。
そう思いつつ
今は喫茶室になっている
こけし屋の二階に上がった

階段の方向も逆
ケーキの種類もほぼ全滅で
もはや、焼け跡の残骸を拾うように
二階に這い上がってみた
褐色の木目の空間には
若い人の姿はなく
白髪の多くなった人たちが
午後のお茶の時間を彩っている

カウンターに座って
スーパーの袋を隣の席に置きメニューを見る
記憶の中に残っているケーキの名前を言ってみる
アルメット
あまりにクラシック過ぎて
食べたことのなかった
アップルパイの名前を呼んでしまう。
寂しさのあまり
地味な友達とつきあってしまうようなもの

白拍子のようなウエイトレスは
別のオーダーを取りに行っていたので
カウンターの中にいるパティシエの
片岡孝夫がオーダーを取ってくれる

と、長い白髭のお客が
杖をついて入ってきた
「あのな、吉祥寺の駅で、タバコを吸っていたら・・」
と大声で話すリア王

と、奥から、女形の黒服が1人カウンターに入ってきた
白拍子がリア王への対応に困っていると
女形がすっとリア王の話をききにまわる
たぶん、白拍子はコーデリアに似ていたのであろう

片岡孝夫がアルメットの皿を出しc0065761_2133035.jpg
ひきつづき
うん、とうなずいた白拍子が
アイスコーヒーとストローを出す
もうひとり
時代考証スタッフのウェイトレスは
他の客のレジを始める
アルメットはきちんと甘く
アイスコーヒーはきちんと苦い
こけし屋特製クレープを
いまごろになって見つける
次回はこれを注文しよう
300円

どうして
どうして
こけし屋はもうだめだなんて
思ったのだろう

こけし屋の二階はあいかわらず魔法陣
すべての邪悪な物を排除し
いとしいものだけがしずかに残っている
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by mironobonus | 2005-08-01 21:04 | お茶とお菓子