人気ブログランキング | 話題のタグを見る

コンクリとドングリ

ずっと、下を向いて歩いていたら急に
視界にドングリが入ってきた
暗渠(あんきょ)のコンクリのフタの上に
ドングリがいっぱい落ちている

土だと思って落ちたのにコンクリとドングリ_c0065761_9182881.jpg
コンクリでは芽がでない
踏まれてつぶれるか
私の後から歩いてくる
接骨院の帰りの子供連れに
ひろわれてしまう

むなしいじゃない、と
思ったら次に
垂直に立つ塀と
暗渠のコンクリのフタの間から
クヌギが芽を出しているのを見つけた

ああコンクリとドングリ_c0065761_9184696.jpg
そういう手もあったんだね
コンクリの接合部に
クヌギの芽
# by mironobonus | 2005-11-16 19:22 | ココロと気持ち

Tiger & Dragon -CKB

ギンガムチェックのワンピースを着た
黒い肌の女の子が芝生の上のブランコで話しかけて来た。
1960年になったばかりの横浜、本牧米軍ハウスの庭。

日本とは違う太陽が緑の芝生を照らしている。
白い木造の家には
母親をマミーと呼ぶ人たちが住んでいる。

赤や緑のシロップを入れた
ソーダ水は子供の飲み物。
コーラは大人のもの。
その不思議な区別の方法と
ポテトチップスにさらにディップをつける
念の入った食べ方にはじめて接したあとで
ギンガムチェックの女の子と私は
どうやって話したものだろうか。

粉の勝ったケーキの間にはなんと、
アイスクリームがはさんであった。
それを当たり前の用に供されたのだから
ギンガムチェックの子と話す方が
すこし気楽だったのかもしれない。

40年も経ってから
横須賀のベースの前で
そのときと同じ空気を吸った。
どうしても思い出す
artificial flavor USA
# by mironobonus | 2005-09-04 18:44 | music

西荻魔法陣 こけし屋の二階2

もう、こけし屋はだめだ
そう思ったことがある。
しょうがないや
そう思ったことがある。
そう思いつつ
今は喫茶室になっている
こけし屋の二階に上がった

階段の方向も逆
ケーキの種類もほぼ全滅で
もはや、焼け跡の残骸を拾うように
二階に這い上がってみた
褐色の木目の空間には
若い人の姿はなく
白髪の多くなった人たちが
午後のお茶の時間を彩っている

カウンターに座って
スーパーの袋を隣の席に置きメニューを見る
記憶の中に残っているケーキの名前を言ってみる
アルメット
あまりにクラシック過ぎて
食べたことのなかった
アップルパイの名前を呼んでしまう。
寂しさのあまり
地味な友達とつきあってしまうようなもの

白拍子のようなウエイトレスは
別のオーダーを取りに行っていたので
カウンターの中にいるパティシエの
片岡孝夫がオーダーを取ってくれる

と、長い白髭のお客が
杖をついて入ってきた
「あのな、吉祥寺の駅で、タバコを吸っていたら・・」
と大声で話すリア王

と、奥から、女形の黒服が1人カウンターに入ってきた
白拍子がリア王への対応に困っていると
女形がすっとリア王の話をききにまわる
たぶん、白拍子はコーデリアに似ていたのであろう

片岡孝夫がアルメットの皿を出し西荻魔法陣 こけし屋の二階2_c0065761_2133035.jpg
ひきつづき
うん、とうなずいた白拍子が
アイスコーヒーとストローを出す
もうひとり
時代考証スタッフのウェイトレスは
他の客のレジを始める
アルメットはきちんと甘く
アイスコーヒーはきちんと苦い
こけし屋特製クレープを
いまごろになって見つける
次回はこれを注文しよう
300円

どうして
どうして
こけし屋はもうだめだなんて
思ったのだろう

こけし屋の二階はあいかわらず魔法陣
すべての邪悪な物を排除し
いとしいものだけがしずかに残っている
# by mironobonus | 2005-08-01 21:04 | お茶とお菓子

西荻散歩〜こけし屋の秘密

西荻窪には
どうしても行かなくてはならない場所がある。
行って自分の姿を
取りもどしてこなくてはならないときがある。
老舗のフランス料理店 こけし屋の二階

かつて
こけし屋は木造の二階建て
二階に上がる階段は
途中まであがるとぎしぎしときしみ
二階のテーブル脇にならんでいるこけしが
倒れそうに揺れる
白いテーブルクロスは白すぎずやさしい

日曜日のこけし屋でランチのぜいたくをしようと
午後1時を充分過ぎた頃に
学生がひとり本を持って入る。

注文はランチ用に作ってあるメニューで
800円ぐらいの軽い一皿
たとえば、卵とほうれんそうのグラチネ
そうでなければ、定番メニューの安いもの。
たとえば、サフランライスと海老のソースアメリケーヌ
ごくたまに
昼間から、こけし屋名物、ポトフで
寒くなると
世界で一番おいしいこけし屋のオニオングラチネ

それが、学生としてはぎりぎりのところで
デザートはもちろんなし
一皿をていねいに頂いて帰る
注文してから料理がくるまでの間は
手持ちぶさたで本を読んで過ごす

ある日、帰ろうかなと思っていると
黒服のウェイターが早足で近づいてきた
「今、キャンセルがあったのですが
 ピーチメルバはいかがですか?」
サービスだというのでビックリしながら
一階の喫茶室でどこかのカップルがキャンセルした
ピーチメルバの片方をいただいてしまった
それからは
「宿題を持ってきてここでやればいいのに」
と長居をすすめてくれたり
「こんなの作ってくれたんだけど」
と突然、丸いスポンジケーキの切り落としと
黄桃の端とカスタードソースを使った
目玉焼き型のデザートを厨房から持ってきてくれたりと
西荻窪から引っ越すまでの数年間
ぜいたく中のぜいたくが続いたのである

先日こけし屋に寄ったら
ピーチメルバのウェイターはまだ仕事をしておられた
だいぶ偉くなったようだったが
まだ当時と変わらない様子で指示を出しておられた
思い違いかもしれないから
三十年も前のピーチメルバは
私だけの秘密にしておこう

ランチタイムを過ぎた
お客のだれもいない
日曜日の午後のこけし屋の二階
はじめは、東京に来たばかりの自分が
背伸びをしながらなんとか自分を保ちつつ
1人でランチを食べていた場所だったのだが
いつのまにやら
自分の身に何が起こっても
その場所に入ってしまえば
ありとあらゆる邪悪なものから
自分自身を守ってくれる
魔法陣のような場所になってしまった

しかし、西荻を離れるかという時期に
こけし屋は4階建てのビルに改築
となりはなんとLホテルに!
さてさて、魔法陣の力はいづこへ
『K屋のKはKABUKIのK?』
COMMING SOON!
(...really?)
# by mironobonus | 2005-07-28 23:46 | 食材とお料理

中央線フリーウェイ〜西荻散歩

東京の中心部をまっすぐ右から左へ走る
オレンジと黄色の電車。
新宿から左へ、中野を過ぎ
各駅停車の区間になると
快速も各駅停車も
中央線フリーウェイに入る。
車内には自由の風が吹き始め、
もう、ギターを持って乗っても目立たない。

東中野から中野を経て高円寺。
ここまでくると東西に分かれていた頃のドイツを
東から西へ逃げのびたような安堵感がやってくる。
古本屋の上の高架を電車は走り、阿佐ヶ谷へ着く。
すっかり、ココロはゆったりして
緊張感は自分の家の
居間と寝室を行き来するレベルより低下し、
そのうち座席は寝室になってしまう。
阿佐ヶ谷から、荻窪、西荻窪。
このおいしい2つの駅を寝過ごして、
吉祥寺で降り、西荻窪に戻る。

「西荻(にしおぎ)」に続く言葉は、「戻る」しかない。
駅はずっとハデになり、街はほんのり寂しくなった。
以前の住居の番地には、もう別の建物が建って
それがまた古びて、改修が終わったばかり。

善福寺川から少し駅寄り
魚屋さんに行き、塩鮭を買いながら、話をきく。
 若かった頃、西荻窪の北側の街を
 支えていた住民たちは
 子供が大きくなるに従って
 転居をし、ここ3、4年の間に
 街の雰囲気が変わってしまった
のだと言う。
話好きで話し慣れた魚屋さんは
さすがに西荻の住民である。

コロッケとお総菜のN畜産や
手作りソーセージの店を確かめながら
ライブハウスアケタの店を確認。
駅に戻りつつ、駅前の食料品店喜久屋に寄る。
もう一度西荻窪に住みたいけれど
もう戻れないかもしれない。
チューリップポークやペンギンソースが
なにげなく並ぶ喜久屋で、
ついでにメロン味のゼライスを買いながら
ちょっと寂しさの味見をする。

チキンガランティン、骨つきハムの骨2本、塩鮭二切れ。
サラミとハムとモルタデラソーセージのお買い得パック。
生ラム1パック、チューリップポーク、
ペンギンソース、メロンのゼライス。
アケタの店のとなりで買った固豆腐。
もう荷物はいっぱいだ。

でも、まだまだ、西荻散歩は終わらない。
西荻には、どうしても行かなくてはならない場所がある。

続きは次回に。
「K屋のひみつ」。COMMING SOON!
# by mironobonus | 2005-07-07 21:52 | ココロと気持ち